
ここまで、撮る・読む・振り分ける、と STIL.BIZ の中身を一つずつ書いてきました。最後に、そのすべてが一枚の名刺の上でつながる流れを、最初から最後までたどります。そして、四本目の道具を作って思ったことを書いて、Season 3 を閉じます。
撮って、読んで、連絡先に
名刺をスキャナにかざすと、紙の四角を見つけて、傾きと歪みを直して取り込みます(カメラは、作らなかった)。取り込んだ一枚を、文字認識が読む。読んだ文字の山を、氏名・会社・部署・役職・電話・メール・住所に振り分ける ── 新しい端末では AI が、それ以外の端末ではルールベースが(AI の当落線の、向こうにも)。
あとは、確認画面でさっと直して、ワンタップで iOS の連絡先に追加する。電話番号やメールが複数あっても、まとめて持てる。名刺とは別に顔写真を添えて、顔と名刺を結んでおくこともできます。そして、その全部が、この iPhone の中だけで終わる。どこのサーバーにも、名刺は送られません。
会員登録は、持たない
STIL.BIZ にも、アカウント登録はありません。これは、STIL.TOON のときに書いた「誰も来ないうちに、作り直した」── 家族でアカウントをなくしていく流れに、BIZ も追いついたかたちです。データを集めない。預からない。
名刺のように、他人から預かった情報を扱う道具こそ、これが効きます。あなたのことも、あなたが交換した相手のことも、私は知りません。それでいい。
価格と、勝負どころ
名刺アプリには、月額のサービスがいくつもあります。STIL.BIZ の Pro は、それより少し低い値づけにしました(月 ¥300 / 年 ¥2,000 / 買い切り ¥3,000)。iCloud で複数の端末をそろえたり、vCard と暗号化バックアップで書き出し・読み込みをしたり、顔写真を登録したり ── そのための機能です。
ただ、勝負どころは値段ではない、と思っています。安いから選ぶ、ではなく、端末の外に出さないから選ぶ。差別化の軸を、価格ではなく、プライバシーに置きました。無料のままでも、撮る・読む・振り分ける・連絡先にする、という芯は、全部できます。
仕事の側にも、家族が
STIL.(動画から一枚)も、STIL.TOON(顔をイラストに)も、どちらかといえば暮らしの側の道具でした。BIZ で、その家族が、初めて仕事の側に一本伸びました。名刺を、連絡先に。全部、この iPhone の中で。一つの思想が、用途を変えながら、少しずつ広がっていく。
おわりに ── 現像ノート Season 3
現像ノートは、ここで Season 3 を閉じます。動画の一瞬、顔のイラスト、そして名刺。三つの道具に共通しているのは、ぜんぶ、あなたの素材を外に出さない、という一点だけです。派手な共通点ではありません。でも、私がいちばん曲げたくないのは、たぶんそこです。
次に何を取り出すかは、まだ決めていません。家族は、これからもう少し増えていく予定です。
STIL.BIZ は App Store で公開しています。よければ、机に溜まったままの名刺を、一枚、撮ってみてください。