Cats and Dogs

現像ノートSeason 3STIL.BIZ第 5 話 / 全 6 話

現像ノート

「ピントが甘い」を、やめた ── 暫定値を、直視する

読めるはずの名刺が、ときどき「ピントが甘いようです」と弾かれる。原因をたどると、文字認識の手前に置いた関所と、そこに立ったままになっていた一つの数字に行き当たりました。「暫定値・実機で調整すること」── そう注記されたまま、ずっと放っておかれた数字です。

「ピントが甘い」を、やめた ── 暫定値を、直視する

前回は、連続スキャンで固まる話でした。今日は、もう一つ現場で直したことを書きます。読めるはずの名刺が、読み取りにすら進めずに落とされる ── その原因が、ずっと放っておかれた一つの数字だった、という話です。

「ピントが甘いようです」

名刺をスキャンすると、ときどき「ピントが甘いようです」と表示されて、読み取りに失敗する。けれど、その名刺を実際に見てみると、十分に読める一枚だったりする。人の目には読めているのに、アプリは、文字認識を試すことすらせずに、弾いていました。

原因は、放っておかれた数字

調べてみると、こういう仕組みでした。STIL.BIZ は、文字認識を始める前に、画像のボケ具合を測って、ボケすぎていたら先に弾く、という関所を置いていた。

そして、そのボケの基準になる数字に、「暫定値・実機で調整すること」というメモが、ついたまま残っていました。仮に置いた数字を、あとでちゃんと調整するつもりだった。けれど誰も調整しないまま、その仮の数字が、ずっと関所に立ち続けていたのです。

測った数字は、ぶれる

ボケの指標は、照明や、名刺の色や、解像度で、大きくぶれます。だから、その一つの数字で「読む前に弾く」と決めてしまうと、少しボケ気味でも、実は読める名刺まで、まとめて落としてしまう。関所が、通すべき相手を止めていました。

だから、関所をなくした

直し方は、シンプルでした。読む前に弾くのを、やめる

どんな名刺も、まず文字認識にかける。「読めるかどうか」は、測った数字ではなく、実際に読んでみた結果に決めさせる。文字認識が何も読み取れなかったときだけ、失敗とする。そのときに、もし画像がはっきりボケていたら、はじめて「ピントが甘いようです」と案内する ── つまり、ボケの数字を、「弾く」役から「言葉を選ぶ」役へ、降ろしました。

数字を、信じすぎていた

振り返ると、これは「測った数字を、信じすぎていた」という話でした。

数字は便利です。閾値を一つ置けば、機械的に振り分けられる。でも、その数字が何を黙って落としているかは、見えにくい。仮に置いた一つの数字が、読めるはずの名刺を、誰にも気づかれずに落とし続けていました。直したのはコードというより、数字との付き合い方だったのかもしれません。測れるものは、つい信じたくなる。でも、最後に「読めるか」を決めるのは、関所ではなく、読んでみることのほうでした。

次回

次は、いよいよ最終話です。撮った一枚が、連絡先になるまで ── その流れを最初から最後までたどりながら、四本目を作って思ったことを書いて、現像ノート Season 3 を閉じます。

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