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現像ノートSeason 4STIL.RECEIPT第 3 話 / 全 6 話

現像ノート

合計だけは、嘘をつかない ── 税の取り違えを、数学で直す

「10%対象」の欄に、対象の金額ではなく、消費税額のほうが入ってしまう。AI も、ルールも、似た数字が並ぶと取り違える。しかも厄介なことに、間違えた数字は、レシートのどこかに本当に存在する。それを救ってくれたのは、賢い読み手ではなく、一つの動かない事実 ── 合計でした。

合計だけは、嘘をつかない ── 税の取り違えを、数学で直す

前回、レシートの「表」を読めるようにした話を書きました。けれど、表が読めても、数字にはまだ落とし穴がありました。今日は、税率や税額の取り違えを、数学で直した話です。

「10%対象」に、税額が入る

レシートの下のほうには、税率ごとの内訳が書いてあります。「10%対象 ¥◯◯」「消費税 ¥△△」のように。

実機で試していると、この「10%対象」の欄に、対象の金額ではなく、消費税額のほうが入ってしまうことが、よくありました。AI も、ルールベースも、似たような数字が近くに並ぶと、どれが「対象の金額」で、どれが「税額」なのか、取り違える。経費の集計では、ここがずれると、地味に効いてきます。

存在しても、安心できない

厄介だったのは、間違えた数字が、レシートのどこかに本当に存在することでした。

私は、AI が読み取った数字について、「その数字、ちゃんとレシートに書いてありますか?」という確認をしていました。でっち上げを防ぐためです。ところが、税額は、紙の上に確かに印刷されている。だから、「対象額」の欄に税額を入れても、その確認は通ってしまう。存在はするけれど、置き場所が違う。あるかないか、を見るだけでは、足りなかったのです。

合計は、嘘をつかない

そこで、最後の審判を、別のところに置きました。合計です。

一つの税率だけのレシートなら、「対象の金額 = 合計 × その税率ぶん」という式が、必ず成り立つはずです。10% なら、税抜の対象額は、合計の 100/110。もし、振り分けた数字でこの式が合わないなら、どこかが間違っている。

AI が間違えても、ルールが間違えても、私が間違えても ── レシートに印刷された「合計」だけは、動かない事実です。受け取った瞬間に、もう決まっている。だから、それを物差しにしました。振り分けた内訳が合計と噛み合わなければ、噛み合うように直す。賢い読み手の判断より、一つの動かない数字のほうを、信じることにしたのです。

三段で、守る

こうして、振り分けは三段がまえになりました。まず AI が読む。AI が苦手なところは、ルールベースが補う。そして最後に、合計との数式で、辻褄を確かめる。

三つは、得意が違います。AI は、文脈を読むのに強い。ルールは、紙のどこにあるか、という位置に強い。そして数式は、嘘を見抜くのに強い。どれか一段だけだと危ういところも、三段で受けると、かなり守れる。レシートの世界で、いちばん信用できる相棒は、結局、賢い AI ではなく、「合計」という一つの数字でした。

次回

こうやって一つずつ直していくと、当然、たくさんのレシートでつまずきます。次は、その「実機で出たつまずき」を、二度と起きないように、テストへ変えていく作り方の話をします。

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