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棚のCD第 10 話 / 全 11 話

棚のCD

Supergrass『Life on Other Planets』── ジャケ買いの一枚と、口ずさみたくなる La Song

ジャケがいいでしょ ── そんな理由で棚から抜いて、いまもまた棚に戻している一枚。専門学校に通っていた頃、渋谷のディスクユニオンで棚を眺めていた手が、ふと止まりました。Supergrass の 4 作目。派手なセールスではなかったけれど、4 人それぞれのキャラが詰まった、らしさあふれる作品です。ドラムのダニー・ゴフィー偏愛と、つい口ずさみたくなる 10 曲目「La Song」の話を。

Supergrass『Life on Other Planets』── ジャケ買いの一枚と、口ずさみたくなる La Song

Supergrass の 『Life on Other Planets』(2002 年)。

棚の CD シリーズ、第 9 回はこの一枚です。

ジャケがいいでしょ。── この一枚については、紹介の入り口がそれで充分だと思っています。

ジャケ買い、という入り口

正直に言うと、これは ジャケ買い でした。そして、ジャケ買いでいいと思っています。

専門学校に通っていた頃、私は渋谷のディスクユニオンで棚を端から眺めるのが好きでした。目当てを決めて買うというより、背表紙とジャケットを順に追って、手が止まったものを連れて帰る。この一枚も、まさにそれです。なぜここで手が伸びたのか、理屈はうまく思い出せません。ただ、ジャケットの前で指が止まった。当時の私には、それで充分な理由でした。

その頃の私は、音楽とバンドにどっぷり浸かっていました。来る日も来る日も、聴いて、弾いて、また聴く。そういう毎日だったからこそ、聴き始めてすぐ「これは良い 4 人だ」と分かる手応えに、素直に反応したのだと思います。

職人みたいな 4 人組

『Life on Other Planets』は、Supergrass の 4 作目 にあたります。セールスでいえば前作ほど派手ではなかったようで、UK チャートでは 9 位どまり。それでも私にとっては、バランスの取れた、らしさあふれる作品 です。むしろ、肩の力が抜けたぶん、4 人の地力がそのまま音になっている気がします。

白状すると、私は ドラマーのダニー・ゴフィー のファンです。リンゴ・スターを思わせる、ハネたビートとタム回し がたまらなく好きで、彼のドラムが転がり出すと、それだけで頬がゆるみます。手数で押すのではなく、間合いと跳ね方で曲を運んでいく。ああいう叩き方をする人が、私はずっと好きなのだと思います。

メインの 3 人は、それぞれキャラが立っています。ボーカルとギターの ギャズ・クームス、ベースの ミック・クイン、そしてダニー。さらに、ギャズの兄 ロブ・クームス のキーボードが、このバンドのサウンドには欠かせません。

ロブには、おもしろい逸話があります。彼は天体物理を修めた人で、レコーディングのときにスタジオへ 望遠鏡 を持ち込み、合間に惑星を眺めていたそうです。アルバムのタイトル『Life on Other Planets』── 他の惑星の生命 ── は、そこから来ています。しかもこの 4 作目から、ロブは正式メンバーになりました。ジャケットにただよう宇宙めいた感触は、伊達ではなかったわけです。ジャケ買いした自分の指は、案外まちがっていなかった。

盤面まで惑星めいて ── 歌詞ブックレットと、同心円のレインボー・ディスク

聴き所 ── 10 曲目「La Song」

この 4 人の良さが、いちばん素直に詰まっているのが、10 曲目の 「La Song」 だと思っています。

Life on Other Planets 日本盤の裏ジャケット ── 帯には「ボーナス・トラック 2 曲収録」、曲目に La Song の名前も見えます

シングルになった曲でもなく、このアルバムの代表曲として真っ先に挙げる人も、あまりいないはずです。でも、つい口ずさみたくなるような、ハッピーな一曲 なのです。大げさな展開も、強い主張もありません。ただ、口の端からこぼれ出てくる。気づくと鼻歌になっている。そういう曲が一枚に一曲あると、そのアルバムはずっと棚に残ります。私にとっての『Life on Other Planets』は、まさにそういう一枚でした。

とはいえ、このアルバムも曲単位でつまむより、通して聴く のがよく似合います。「La Song」で頬がゆるんだら、そのまま頭に戻って、4 人の手癖を一周ぶん味わってみてください。

ジャケに始まり、鼻歌に終わる

バンドに浸かっていたあの頃の私は、派手なバンドより、こういう 職人みたいな 4 人組 に惹かれていました。ジャケで手が止まり、再生すれば 4 人の地力に頷かされ、最後は「La Song」を口ずさんでいる。派手な物語はありません。けれど、棚から取り出すたびに、ディスクユニオンの棚を端から眺めていた頃の自分が、鼻歌と一緒に戻ってきます。

次に取り出す CD は、まだ決めていません。クローゼットを開けて、なんとなく目に止まった一枚を、また連れてきます。

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棚の CD シリーズ、第 9 回はこの一枚でした。

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