
「現像ノート」では、動画から一枚を取り出す STIL.、顔をイラストに変える STIL.TOON、名刺を連絡先にする STIL.BIZ、レシートを経費にする STIL.RECEIPT のことを書いてきました。今日からの Season 5 は、その続きです。録音するだけで、文字起こしから要約までを、この iPhone の中で終わらせるアプリ、STIL.NOTE。話を、記録に。 最初の一枚は、いつものように、なぜ作ったのか、から。
メモを取ると、話が聞けない
打ち合わせで、メモを取りながら人の話を聞くのは、思っているよりむずかしいことです。書いているあいだ、耳は半分留守になる。かといって、聞くことに集中すれば、あとに何も残らない。私は長いこと、その間で行ったり来たりしてきました。
そして、写真とちがって、話は録り直せません。撮り損ねた景色には、もう一度行けることもあります。でも、さっきの会話は、もう二度と、同じようには起きない。残すなら、話しているそのときに、残すしかない。
声は、預かりものに近い
それなら録音すればいい ── のですが、ここでいつもの問題が出てきます。録音を文字にしたり、要約したりするサービスの多くは、音声をサーバーに送ります。
写真のときも、名刺のときも、外に出したくないと書いてきました。声は、もう一段、重いと思っています。録音には、自分の声だけでなく、相手の声も入っているからです。会議の録音は、自分だけのものではない。半分は、預かりものです。それを、便利さと引きかえに、よそのサーバーへ送りたくはありませんでした。
考えたことは、データの話 や 名刺の話 と同じです。録音も、文字起こしも、要約も、すべてこの iPhone の中で。会員登録もありません。
録って、書き起こして、要約まで
STIL.NOTE は、録音を始めると、話したそばから文字になっていきます。録音が終わると、誰の発言かを分けて、決定事項・TODO・要点の形に整える。あとから読み返せるノートに、話がそのまま変わっていく。それを、電波の届かない場所でも動く形で作りました。
ただ、声は、ぜんぶ手強かった
作りはじめて分かったのは、声という素材の手強さでした。この Season 5 では、そのあいだに起きたことを、順番に取り出していきます。
- 登録した話者の名前が、じつは「貼り紙」にすぎなかった話
- AI が「はい。」の一言から、ありもしない会議を作ってしまった話
- 15 分の録音を失って、保存をいちばん先に持ってきた話
- 英語が混ざると崩れる文字起こしを、「二度聞き」で直した話
- 話が、ノートになるまで
これまでの四つのシーズンと同じように、誇張なしの舞台裏を書きます。
はじめます
話を、記録に。聞くことに集中して、それでも、あとに残すために。次回は、この家族でいちばん驚いた話から始めます。登録したはずの名前が、ただの貼り紙だった話です。
STIL.NOTE は App Store で公開しています。アプリのことは stil.photo/note、本体は App Store に置いてあります。