
ここまで 6 枚、STIL. のことを取り出してきました。なぜ作ったか、データを預からないと決めたこと、フィルムの色、フレームの選び方、3 回落ちた審査、ひとりで作るということ。Season 1 の締めくくりに、これからの話を少しだけ。
増えているのは、機能ではなく約束
STIL. は、動画から一枚を取り出すアプリとして始まりました。でも作っているうちに、同じ考え方が、ほかの場面にも効くと気づきました。
たとえば STIL.TOON は、写真の顔をイラストにします。STIL.BIZ は、名刺を読み取って整理します。やっていることはバラバラに見えて、根っこは全部同じです。すべて、この iPhone の中で。素材を外に出さない。アカウントを持たない。
だから、増えているのは機能の数ではなく、同じ一つの約束を、別の場面に届けているということなのだと思います。写真の弟、名刺の弟。これからも、暮らしの中の小さな「これ、端末の中だけでできたらいいのに」を見つけたら、また一つ、家族が増えるかもしれません。


派手ではないものを、ていねいに
STIL. の家族は、どれも派手なアプリではありません。動画から一枚、顔をイラストに、名刺を一枚。地味です。でも、地味なことを、誇張せず、ていねいに、端末の中だけでやり切る ── そこに、私のこだわりを全部入れています。
クリーム色の背景に、紺がひとつ。コピーの一字、英数字の前後のスペース、三点リーダの形まで。誰も気づかないかもしれない細部を、それでも揃える。その積み重ねが、ブランドの手触りになると信じています。
これから
この連載「現像ノート」は、ここからも続けます。Season 2 では、もう少し機能の使い方や、家族それぞれの話に踏み込んでいくつもりです。製品そのものの詳しい使い方は、いずれ stil.photo の側にも、読み物として置いていく予定です。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。棚のCD が「持っていた音楽を見つめ直す」連載なら、こちらは「自分の手で作っているものを、ひとつずつ言葉にする」連載です。どちらも、私という人間の、別々の引き出しです。
よければ、あなたの動画でも一枚、取り出してみてください。撮り逃したと思った一瞬が、まだそこにいるかもしれません。
STIL. のことは stil.photo、本体は App Store に置いてあります。