Cats and Dogs

現像ノートSeason 2STIL.TOON第 4 話 / 全 6 話

現像ノート

誰も来ないうちに、作り直した ── 二つ目のアプリと、家族で動くということ

STIL.TOON も、出した直後にアカウントの仕組みごと作り直しました。まだ誰もほとんど使っていないうちに。きれいに作り直せるのは、実ユーザーがつく前の今しかない ── そしてこれは、TOON ひとつの判断ではなく、家族そろっての方向転換でした。

誰も来ないうちに、作り直した ── 二つ目のアプリと、家族で動くということ

前回まで、STIL.TOON が顔をどう絵にしているか、中身の話をしてきました。今日は、出してすぐにそのつくりを大きく作り直した話です。しかも、まだ誰もほとんど使っていないうちに。

出してすぐ、アカウントをなくした

公開した最初のバージョンには、ふつうの会員登録がありました。メールでアカウントを作って、ログインして使う。よくある形です。

ところが公開のすぐあと、私はアカウントという仕組みそのものを、丸ごと外しました。理由は、一つ目のアプリ STIL. のときに書いたものと、まったく同じです。素材を預からないと言いながら、入り口で個人情報を集めているのは、噛み合わない。いちばん安全なデータは、最初から持っていないデータ。この話は、データを、預からないと決めた に書いたとおりです。

家族は、一緒に動く

ここが、二つ目ならではの話です。アカウント廃止は、TOON が単独で思いついた判断ではありませんでした。先に親アプリの STIL. が踏み切った決定に、TOON が数日で追いついたかたちです。

プライバシーを掲げるとき、ファミリーの中で一つだけ会員登録を残していたら、説得力が崩れます。「データを預からない」は、全部のアプリで揃っていて、はじめて本当になる。だから、一本が決めると、もう一本が続く。STIL ファミリーは、そうやって同じ方向へ動きます。

壊れないことを、確かめてから

作り直すといっても、機能が壊れては意味がありません。調べてみると、TOON のアカウントが受け持っていたのは、認証と、AI の利用回数を数えること ── その二つだけでした。

  • 課金は StoreKit 2 が Apple ID に紐づけてくれます。私が会員情報を持つ必要はありません。
  • デバイス間の同期は CloudKit、つまりあなた自身の iCloud の中で完結します。
  • AI の処理は、もともと全部オンデバイス。サーバーも、ユーザーを見分ける識別子も要りません。

つまり、真ん中で個人情報を握る理由が、どこにもなかった。握っていた部分を外しても、データが消えることはありませんでした。ついでに、回数を数える仕組みも一緒に消えたので、AI は全員、無制限で無料になりました。

片方で見つけた穴は、両方で塞ぐ

家族で作っていて、おもしろいと思った瞬間があります。作り直しの最中、購入した直後に Pro がほんの一瞬だけ剥がれてしまう不具合を、TOON の実機で見つけました。原因をつかんで TOON で直したあと、まったく同じ修正を、親アプリの STIL. にも戻しました

一本で見つけたつまずきが、もう一本の学びになる。ひとりで二つを並走させていると、片方の失敗が、もう片方を救うことがあります。家族で動くというのは、こういうことかと思いました。

なぜ「今しかない」のか

作り直すなら、早いほどいい理由がありました。実際のユーザーがついてから会員登録をなくすと、「アカウントを削除してください」「データを移します」という手間が生まれます。それに、アカウントを作る機能をなくせば、Apple が必須にしている「アカウント削除機能」そのものも要らなくなります。

まだ誰も来ていない今が、いちばんきれいに作り直せる時。出した直後の、まだ身軽なうちに、中身を入れ替えておく。これは一つ目で覚えた呼吸でした。

次回

次は、その作り直しで表に出てきた「透かし」の話をします。透かしは制限であり、同時に広告でもある、という話を。

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