Cats and Dogs

現像ノートSeason 2STIL.TOON第 6 話 / 全 6 話

現像ノート

一週間で、店に並んだ ── 二つ目を世に出すための、地味な手続き

STIL.TOON は、キックオフから一週間で App Store に並びました。けれど、最後に審査を止めたのは、コードのバグではありませんでした。銀行口座と、税の書類と、契約への署名 ── アプリを世に出すのに、デジタルじゃない準備が要る、という話です。現像ノート Season 2、最終話。

一週間で、店に並んだ ── 二つ目を世に出すための、地味な手続き

ここまで、STIL.TOON の中身の話をしてきました。最後は、それを実際に世に出すまでの話です。この二つ目のアプリは、キックオフから一週間で App Store に並びました。その一週間で、コードの外で何が起きていたかを書きます。

一週間の地図

おおまかな流れは、こうでした。

5 月 7 日にプロジェクトを始め、顔の検出とイラスト化を組み、キャラクターを足し、5 月 11 日に最初の申請。何度かのつまずきを越えて、5 月 14 日に承認。一週間です。一つ目の STIL. で一度通った道だったので、二つ目はずいぶん速く歩けました。

ただ、その一週間の終わりに、思わぬところで足が止まりました。

つまずきは、コードの外にあった

ある申請が、リジェクトで返ってきました。理由を読むと、アプリの機能の問題ではありません。「Paid Apps Agreement(有料アプリ契約)が署名されていない」

アプリ内課金を出すには、Apple とこの契約を結んでいる必要があります。これが有効になっていないと、いくらコードが完璧でも、課金を含むアプリは審査を通れません。私がつまずいたのは、関数でも UI でもなく、契約という一枚の書類でした。

デジタルじゃない準備

その夜、止まっていたものを一気に片付けました。有料アプリ契約への署名、W-8BEN(アメリカとの租税条約のための税の書類)、振込先の銀行口座、それに EU 向けの事業者登録。どれも、コードを一行も書かない作業です。

アプリを一つ世に出すのに、銀行と税務署の書類が要る ── 当たり前のようでいて、作る前の私は、ここまで具体的には分かっていませんでした。プロダクトは、コードができたら終わりではない。店に並べるための、地味で事務的な手続きが、最後に待っている

覚えておくこと

この一件は、そのまま教訓として書き残しました。Apple が有料アプリ契約を改定すると、署名し直すまで、アカウント全体で課金がいったん止まることがあります。だから、もしリジェクトのメールに「Paid Apps Agreement」という言葉を見つけたら、コードを疑う前に、まず契約・税・口座の情報を確認する。一度はまると、二度目はすぐに気づけます。

一週間で、二つ目が並んだ

書類を片付けたその夜のうちに、出し直しました。翌 5 月 14 日、承認。キックオフからちょうど一週間で、二つ目のアプリが店に並びました。

完璧を待たずに、まず動くものを出す。出してから、軽いうちに作り直す。一つ目で覚えたこの呼吸を、二つ目はそのまま速さに変えられました。一本のアプリが、二本目を持つ。Season 1 の最後に「一本のアプリから、家族になるまで」と書いた、その二人目が、こうして生まれました。

おわりに ── 現像ノート Season 2

ポケットの中の現像室は、いつのまにか二つ目の道具を持っていました。動画から一枚を取り出す STIL. と、顔を絵に変えて分かち合う STIL.TOON。どちらも、すべて iPhone の中で動きます。

現像ノートは、ここで Season 2 を閉じます。次に何を取り出すかは、まだ決めていません。家族は、これからもう少し増えていく予定です。

STIL.TOON は App Store で公開しています。よければ、出せないままになっていた一枚を、もう一度開いてみてください。

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