
前回、アカウントをなくしたついでに、AI を全員無制限で無料にしたと書きました。顔を絵にする処理は端末の中で動くので、何回使っても私のコストはゼロ。だから回数を数えるのをやめた、という話です(同じ考え方は、一つ目のアプリで 数えるのを、やめた にも書きました)。
すると、当然の疑問が残ります。全部無料で使えるなら、どこで Pro になるのか。STIL.TOON の答えは、書き出しに入る小さな透かしでした。
透かしの、一つ目の役割 ── 制限
無料で一枚を書き出すと、画像に STIL. の透かしが入ります。Pro にすると、それが外れる。たったそれだけの違いです。
機能を出し惜しんで「ここから先は有料」と壁を作るのではなく、全部使ってもらったうえで、作品として持ち出すところに Pro を置く。透かしは、その境界に立つ、静かで常在のしるしです。本気で使いたくなったら、外せばいい。押し売りはしません。
透かしの、二つ目の役割 ── 広告
ここからが、作りながら気づいたことです。透かしは、課金への入り口というだけではありませんでした。
無料ユーザーが、できあがった一枚を SNS で共有する。そのとき、画像に入った STIL. の名前も、一緒に広がっていきます。無料ユーザーが拡散してくれる行動が、そのままこちらの広告になっている。
そう気づくと、見え方が反転しました。「無料ユーザーが透かし付きの画像をばらまく」のは、こちらにとっての損失ではない。むしろ、お金をかけずに名前が届く獲得チャネルです。だったら、無料体験を出し惜しむ理由は、どこにもない。気持ちよく作って、気持ちよく広めてもらうほうが、ずっといい。
TOON だからこそ、効く
この仕掛けは、STIL.TOON とよく噛み合っています。TOON の出口は、家族や友だちと分かち合う写真です。顔をイラストに変えたから、安心して人に見せられる。その「見せられるようになった一枚」が広がるほど、透かしも一緒に旅をします。守るために作ったものが、そのまま届ける力になる。
Pro は、何のために
AI が無料なので、Pro の中心は「作った一枚を、作品として持ち出す」ための機能になりました。透かしなしの書き出し、全デバイスでのライブラリ同期、スタイルやスタンプの解放、高品質な書き出し。価格は、月 $2.99、年 $19.99、買い切り $24.99 の三つから選べます。
無料のままでも、顔をイラストにして、安心して分かち合う ── という、いちばん大事なところは全部できます。Pro は、その先で「もっときれいに、もっと自分のものとして持ち出したい」と思ったときの選択肢です。
次回
次は、いよいよ最終話です。この二つ目のアプリが、キックオフから一週間で App Store に並ぶまで ── その一週間で、コードの外で何が起きていたかを書きます。
STIL.TOON は App Store で公開しています。